育毛を始めるきっかけ的エピソード

あまりの恥ずかしさに誰か俺を殺してくれ!と本気でそう思いました


ハゲって人を絶望させますよね。

薄毛が気になり始めてから、蛍光灯の色なんかも気にするようになりました。

これはハゲあるあるだと思うんですよ。

つまりオレンジの蛍光灯だと地肌があまり目立たないから安心。しかし青白い光の蛍光灯だと地肌が目立つので、ハゲの心理としては気が気じゃないわけです。

特に日本の蛍光灯は海外に比べて明るいそうですから、これは冗談で言うのじゃなく本気で「海外住みてぇー」って思いましたもん。

あと、髪型にも悩みます。

僕は頭頂部を中心に全体が薄いんです。なので真ん中分けにするとハゲが目立つんです。

だから基本的に七三分け。でもあんまり同じ髪型を続けると分け目が広がるなんて話も聞いたりして、すごく悩みの種でした。

いっその事ボウズも検討していたのですが、その勇気もなくて、ついつい地肌を隠すために髪を伸ばしてしまうのです。

このように、育毛を始めるきっかけ的エピソードを挙げ出したら切りがないのですが、一番のきっかけは間違いなくこれです。

当時、僕は虫歯の治療中でした。毎週、歯医者に通っていたのです。

余談かもしれませんが、歯科助手さんって美人が多いですよね。例によって僕の通っていた歯医者でも、美人がいました。

歯医者の治療って刑事ドラマの取り調べみたいに、ライトをかざしながら行うんですよ。

なもんで僕は青白い光に照らされながら口を開けてるわけです。当然、医師の方にも、そして助手の美人さんにも頭が薄いことは筒抜け状態。

それが気になって気になって。もう歯医者に通うのが憂鬱になるくらいストレスでした。

ある日、僕はそんなストレスから一時的にでも逃れようと、カツラを着用して行きました。

カツラと言っても全体を覆うタイプではなく、ウィックって言うんですか? 部分ヅラの要領で髪の薄い所にピンポイントで装着するタイプです。

かぶる物ではないので、パチンパチンッと地毛に喰い込ませなければなりません。

そのカツラの使用は初めてではなかったので、使い方は分かっていたつもりでした。

しかし悲劇は治療後に訪れます。

「あー今日は薄毛が目立たなくて良かったな」

なんて独り言を呟きながら病院のトイレで用を済ませていると、手を洗う時ふと鏡の自分と目を合わせました。

「え……うそ」

出掛けに装着したはずのカツラが取れ、僕の頭は露骨にハゲが目立っていたのです。

「マジ!? どこで落とした!?」

焦りました。でも誰かに尋ねるわけにもいきません。

 そうしてかなり心臓をバクバクいわせながら、しかし平静を装って会計を済ませた時、奥の診察室から慌てた様子で例の歯科助手さんが駆け寄ってきました。

「こ、これ……」

彼女は遠慮がちに僕のカツラを差し出したのです。

「診察代の頭を乗せるところに落ちてたんです」

 彼女は泣きそうな目で、見てはいけない物を見たようにそう言いました。

「あ、ありがとう」

黙って受け取ります。僕の顔は相当引きつっていたことでしょう。

あんな恥ずかしい体験は他にありません。小学校の頃に教室でうんこ漏らしたこともあったけど、それ以上にせつない体験でした。

穴があったら入りたいどころじゃないですね。ほんともう、誰か俺を殺してくれ。そう思いました。

とにもかくにも、あの経験がきっかけとなり、僕は育毛に本気で取り掛かったのでした。




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